
タイムリーな話題から、カルチャー、さらには社会問題まで、さまざまなテーマについて、リアルな10代の声を聞くシリーズ「10代リアルVOICE」。
今回のテーマは「最近気になったニュース」について。ニュースやSNSで目にした出来事を通して、今を生きる10代はどう感じ、どう考えたのか。政治から、カルチャー、国際問題まで、リアルな視点を集めました。
1. そらさん「報道がない=何も起きてない、とは限らない」

『伝え方』を大切にして楽しい舞台づくりを目指しながら、舞台づくりに関わるひと全員が楽しいと感じられるようにサークルを立ち上げた19歳。
「政治や、社会の問題について、すごく詳しいわけではないけれど、最近『国民の声が届かず、意見が反映されていない』と感じるニュースをよく目にします。まずは、わたし自身が選挙に向けての情報収集や、政治に興味を持つ姿勢が大切だと感じました。
また、埼玉県で道路が陥没したニュース。報道で見かけることが減っていましたが、時間が経ってからご遺体が発見されたというニュースを見て、しばらく表には出ていないところでも多くのひとが尽力していたと知りました。『報道されていないから、動きがない』とは限らないということに、改めて気がつくことができました」
2. Renさん「アートがこんなに暮らしに近いなんて」

識を疑い、『善い』とは何かを探求するために、メディアアートの制作を通じて、言葉に頼らない、世界の新しい見方を訴えかけている17歳。
「 瀬戸内の島々を舞台に、3年に1度開催される現代アートの祭典『瀬戸内国際芸術祭2025』が気になっています。
日本で、こんなにも大きな現代アートの祭典が開かれるとは思っていなくて。アートが日常にここまで浸透していることに驚きました。今年、行ってみたいイベントのひとつです」
3. 和佐間芽弥さん「ネット社会で生きる未成年の行動をもっと考えていきたい」

社会で声を挙げられないひとに寄り添う小説を書くことを目指し、大学で社会学を学びながら、いまはダンスやアート鑑賞から創作の基盤をつくろうとして
「広島県の通信制高校で起きた殺人未遂事件です。
昔に比べる学校内でのトラブルは落ち着いてきたと言われていますが、その分、いまの10代はネット上で生きている面もあると思いっていて、10代の像が見えにくくなっているのではないかなって。
未成年の行動や、背景に対してどう捉えていくか、もっと丁寧な議論が必要なのではないかと感じました」
4. 美月さん「お米の価格と政治のリアルさ」

高校生のころに拒食症で一時期バレエを離れ、踊りにふたたび向き合うことに決め、3歳から始めたクラシックバレエを軸に、さまざまなジャンルの踊りに挑戦している19歳。
「小泉進次郎さんが、農林水産業の大臣になったニュースです。
前任である江藤さんの『米を買ったことがない』という発言には、驚きと同時に怒りも感じて。日常に必要となる、おにぎりやお弁当にも、影響があるのにと……腹立たしくなっていました。
ですが、個人的には、小泉さんがお米の価格高騰に問題意識を持ち、国民の目線ですぐに取り組みを始めてくれたことに安心感を覚えました。離党のお米や国民が困っていることにピンポイントで向き合ってくれている姿に『暮らしに向き合う政治のあり方』を考えさせられました」
5. かずやさん「世界のリーダーには冷静さを求めたい」

高校時代のセブ島留学で教育格差に衝撃を受け、カンボジアの子どもたちのために、募金活動や国際協力をテーマとした授業の企画などの活動をしている19歳。
「アメリカのトランプ政権に対するニュースです。
トランプ大統領は、アメリカという世界を引っ張っている大国のリーダーだと思います。ただ、根拠のない発言や、短期的な視点だけで決まっていく制作が、世界中を混乱の渦に巻き込んでいるように感じていて……。
この先、アメリカや国際社会がどうなっていくのか、すごく不安です。どうか世界を混乱させないほしい。そんな思いを募らせながら毎日ニュースを見ています」
6. 彩さん「万博で“デザインのいま”を体感したい!」

写真に光が差し込む瞬間や木漏れ日など、刻々と変わる景色を作品に落とし込み、学校やグループ展で精力的に作品を発表している18歳。
「いまは、やっぱり大阪・関西万博が気になります!
たくさんの国のパビリオンはもちろんですが、落合陽一さんや、引地耕太さんなど、デザインやアートの第一線で活躍されている方々が手掛ける展示がとても気になります。
最近の中で、一番心が躍るクリエイションだと感じているので、現地でそれを体感してみたいです」
7. 大神祐理さん「同じものを求める人たちの熱気に驚いた」
「マクドナルドのおもちゃが即完売し、転売されているニュースがとても印象に残っています。
わたし自身、マクドナルドでアルバイトをしているのでとても自分ごととして感じやすいのですが、まるでニュースのど真ん中にいるような感覚で。誠心誠意、想いを込めて接客していますが、そんなお客さんたちの中に転売をする方々がいると思うと少しだけ怖くなりました。
一方で、純粋におもちゃが欲しくて朝早くから並ぶひとがいて、同じ話題で盛り上がる空気が生まれルコとで、ある種の社会現象のようになっているのが面白いなって。
個人主義が強まっているように感じる現代ですが、みんながひとつのことを求めて動く現象に興味を持ちました」
8. 髙橋ロバートさん「争いに慣れてはいけない」

「やさしい日本語すごろく」を制作し、現在はそれを用いたイベントやワークショップの開催に力をいれながら活動をしている17歳。
「トランプ政権のニュースが気になっています。
将来はアメリカの大学に進学したいと思っています。自分はアメリカと日本の両方の国籍を持っていて、幸い進学はできる立場にありますが、最近のアメリカの政策にはとても不安を感じています。
これから留学を目指すひとたちの夢が壊されてしまうような状況にならないでほしい。アメリカは希望を持たれている国だからこそ、もっと誰にとっても安心できる場所であってほしいと思います」
政治や国際問題、アートや日常の出来事まで。ただの「情報」ではなく、ティーンが自分ごととして届いている日々のニュースをお届けしました。Steenzでは、これからも10代のリアルな声を発信していきます。
Photo:Nanako Araie
Text:Serina Hirano