
「気になる10代名鑑」の980人目は、関口俊さん(17)。能登半島地震の復興に向けた支援プロジェクトをはじめ、官公庁との連携イベントや地域の図書館づくりなど、20を超える活動に挑戦しています。将来は、AIと医療を掛け合わせて、過疎地域の医療課題に向き合いたいと語る関口さんに、活動を始めた背景やこれからのビジョンについて詳しく聞きました。
関口俊を知る5つの質問
Q1. いま、いちばん力を入れている活動は?
「全国の学生が有志で集まった『能登半島地震・学生による支援募金プロジェクト』という団体で、能登半島地震の復興に向けた募金活動をしています。僕は副支部長として、募金を実施した時の現場の責任者をしています。最近は、復興に留まらず、能登の郷土料理を広げるための企画も進めています。
その他にも、官公庁とのイベント実施に向けた企画運営に携わったり、まちライブラリー『楽』というコミュニティスペースで図書館の本棚作りをしてみたりと、20以上団体に所属して活動をしています。やってみたいと思ったことには、全部挑戦してみるというのがモットーです」
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Q2. 活動を始めたきっかけは?
「中学1年生のときに、PTSD(心的外傷後ストレス障害)になって、あまり学校に行けなくなったんです。他の子は毎日学校に行ってるのに、自分は何もできていないというもどかしさから、学外で活動を始めるようになりました。
正直活動をはじめる前は、団体に所属することのハードルも高く感じました。でも、活動を続けていくうちに、いましかできないことを経験したいという思いが出てきて、より活発になったと思います。ひとと意見交換をする機会が増えていく中で、立場に捉われずに、率直に思ったことを伝える『意見具申』の気持ちを大切にしています」
Q3. 活動にあたってのファーストアクションは?
「原点だなと振り返って思うのは、中学3年生のとき、大阪府警察の『安まちアプリ』に不具合を見つけたときのこと。アポをとって、担当の警察官のひとに改善策を伝えに行ったんです。嫌がられてしまうことを覚悟で伝えに行ったのですが、たくさん感謝の言葉をもらって。
この経験から、自分ができることを活かして、他のひとに対して貢献していきたいと思うようになったんです。それ以来、物事を良い方向に進めるために、物怖じせずに発言できるようになりました」
Q4. 活動をする中でつらかったことは?
「周りに課外活動をしているひとが少なかったからか、活動の意義を理解してもらえないことがつらかったです。『なんで活動するの?意味なくない?』と言われたり、学生は勉強に集中すべきだと注意されたりすることもありました。
でも、それでも活動をしたかったので、辞めずに続けていたんです。そのとき、周囲の意見を変えようとせずに、地道にSNSで発信を続けたら、友達や親も興味を持ってくれるようになって。学校の中でもだんだんと課外活動が浸透してる様子を見ると、つらかった期間がある分、自分まで嬉しく思えます」
Q5. 将来の展望は?
「AIと医療を掛け合わせることで予防医療を発達させて、過疎地域の医療環境を整えることができるようなひとになりたいです。実は、小学校6年生のときに、目の前で親が倒れてしまい、何もできない自分がとても悔しかった経験があったんです。
『空飛ぶ捜索医療団』や『日本赤十字社』という医療系の団体に所属するなかで、離島では1週間に1回程度しか医療を受けられないという話も聞きました。予防医療が進んでいたら防げる病気はたくさんあるはずなので、そういった問題を解決できるひとになるために、今後はAIと医療について専門的な勉強をしたいと思っています」
関口俊のプロフィール
年齢:17歳
出身地:京都府宇治市
所属:能登半島地震・学生による募金プロジェクト、U18DRAFT9期、近畿生徒会交流会、まちライブラリー「楽」、空飛ぶ捜索医療団
趣味:旅行、食
特技:マジック
大切にしている言葉:「やらない後悔よりやった後悔」(マキャヴェリ)
関口俊のSNS
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Photo:Kawaguchi Mei
Text:Mizuki Maeda