
世の中にあふれる情報から、10代が知っておくべき話題をお届けする「Steenz Breaking News」。今日は、昨今世界で注目されつつあるタイ発のポップミュージック「T-POP」についてご紹介します。
ネクストブレイクはT-POP?
近年、世界の音楽ファンの間で、タイ発のポップミュージック「T-POP」に注目が集まりつつあるようです。
その波は日本にも到来しています。例えば最近では、タイ発のサバイバルオーディション番組『789 SURVIVAL』より誕生したボーイズグループ・BUS because of you i shine(バス)が来日しました。彼らは4月15日にEXPO 2025 大阪・関西万博のタイパビリオンのステージでパフォーマンスをおこなうと、8月16日には日本の大規模音楽フェス「SUMMER SONIC 2025」の東京公演にも出演を果たして話題を集めました。
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BUS because of you i shineに限らず、T-POPアーティストはいま、破竹の勢いで活躍の場を広げています。
T-POPとは
昨今の音楽は、TikTokやYouTubeなどを通じて世界に広がっていくことが珍しくありません。そうした流れの中で、T-POPも多くの人の耳に届くようになりました。
T-POPとひとくちに言っても、発表される楽曲は実に多様です。世界中のさまざまな音楽ジャンルから影響を受けながら、カラーの異なる音楽が多数生み出されています。ただ、そんな中でも、タイの伝統的な音楽や文化の要素が自然とミックスされているのがT-POPならではの特徴です。日頃からK-POPや洋楽などに親しんでいる人であれば、耳なじみの良いサウンドの中に感じられるタイ的な部分に新鮮さを覚えるかもしれません。
そうしたサウンドの特徴に加えて、ボーイズグループやガールズグループであれば、高い歌唱力やダンスの実力なども目を見張るものがあります。タイの文化的な背景をそこはかとなく感じられるミュージックビデオも必見です。
日本の文化からも影響を受けている、T-POPの歴史
在東京タイ王国大使館が公開した動画によれば、T-POPの歴史は1930年代に始まったそうです。当時、外交や留学生を通じて世界の文化がタイに入ってきたことで、T-POPの土台が築き上げられていきました。
その後、洋楽の流行を経て、自国のアーティストがさまざまなジャンルの音楽を発表して活躍するように。2000年代に入ると日本の音楽や書籍、ファッションなどの文化やK-POP、視聴者参加型のオーディション番組などもブームとなり始め、タイの伝統音楽をベースにポップミュージックへと昇華させるT-POPも発展していきました。
2010年代以降は、TikTokなどのSNSの拡散力が高まり、ダンスを起点として‟バズ”を起こして人気に火がつくT-POPアーティストも登場。また、タイ発のドラマの主題歌となった楽曲も人気で、MVが1500万回近く再生されたものも。こうした歴史を経て、現在のT-POPがあるのです。
いま注目のT-POPアーティストは?
では、人気のT-POPアーティストは誰なのでしょうか。今回は、筆者が得意とするダンス&ボーカルグループシーンに絞ってご紹介したいと思います。
まず注目したいのが、7人組ガールズグループの4EVEです。彼女たちはオーディション番組から誕生し、2020年にデビューを果たして、今やタイを代表するアーティストへと成長しました。EDMやラテン調のダンスミュージックなど、多彩な楽曲で高い歌唱力を披露。しなやかで華やかな、完成度の高いパフォーマンスも圧巻のグループです。特にZ世代を中心に支持を集めています。
続いてご紹介したいのが、2023年5月にデビューした5人組ボーイズグループのLYKN(ライキャン)。彼らもオーディション番組の出身で、デビュー直後から日本で「タイフェスティバル東京」に出演するなど活躍しています。彼らは、クールなHIPHOPから切なげなバラード、洗練された都会的なポップミュージックまで、さまざまなコンセプトを見事に自分たちのものにする表現力の高さが持ち味。特にLYKNのバラードは、メロディを大切にした日本のバラードのような楽曲もあるため、J-POPが好きな人は入りやすいグループかもしれません。
冒頭でも触れたBUS because of you i shineも、若い世代を中心に人気の12人組ボーイズグループ。オーディション番組を経て結成され、2023年にデビューしました。メンバーのビジュアルと高いパフォーマンス力が特徴で、特に清涼感あふれるコンセプトの楽曲で彼らの魅力が弾けます。彼らは今年8月、東京・渋谷のSpotify O-EASTでファンミーティングを開催しており、日本でも着実にファンを獲得しています。
J-POPとのコラボレーションも見られるかも?
いま勢いのあるT-POPには、日本の音楽関係者も熱い視線を注いでいます。2024年6月には、EXILEら多数の人気アーティストを輩出したLDH JAPANが、タイを代表する大手音楽レーベル GMM Musicとの業務提携により合弁会社G&LDHを設立したことが発表されました。

両社はそれぞれのアーティストをタイと日本でデビューさせ、GMM Musicがタイ市場を、LDH JAPANが日本市場を担当してマネジメントやPRなどを担う構想だといいます。そうした動きによって今後、日本のアーティストとT-POPアーティストとのコラボレーションなども増えていくかもしれません。
タイと日本の音楽カルチャーがお互いに刺激を与えあったとき、どんな変化が生じ、新しい表現が生まれていくのか。両国の音楽の未来に期待がかかります。
Text:Teruko Ichioka






