2025.12.15 Teen's Snapshots

照明は裏方じゃない、いっしょに舞台を作る仲間。照明一筋で生きることを決めた大学生照明家【みる・19歳】

「気になる10代名鑑」1151人目は、みるさん（19）。高校生で始めた照明で生きていこうと覚悟を決めて、大学では舞台照明を勉強しています。高校生のときに舞台のオペレーションをひとりでおこなった経験をきっかけに、照明への意識が一転したというみるさんに、大切にしていることや将来の展望を伺いました。

みるを知る5つの質問

Q1. いま、いちばん力を入れている活動は？

「大学で、舞台照明の勉強をしています。

照明との出会いは、高校生のときに所属していた高校のホールの管理運営を行う団体『ホールスタッフ』でした。もともと、クラシックバレエを10年くらいやっていたこともあり、『なんか面白そう』と思い舞台芸術を学べる学科のある高校へ進学したんです。

そこで、大きな照明卓を操作している先輩の姿を見て、裏方の魅力に惹かれましたね。高校では、先輩の公演のオペレーションや同期の公演の照明統括などを担当しました」

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Q2. 活動の中で、悩みがあれば教えてください。

「外部から照明作業の仕事を任してもらう機会には恵まれているのですが、大学内でのつながりが少ないのが課題で。大学内で刺激をもらえるようにいろんな人とつながっていきたいですね。

でも実は、10代であることをけっこう楽しんでいて。コンプレックスとか他者と比べてしまう人もいると思うのですが、10代であることを前向きに捉えてほしいです。10代だからこそできることもたくさんあると思うんです。10代って悩みを抱えているものっていうイメージがありますが、ちょっとでも前向きに捉えれば、世界が広がるかもしれません。

だって、10代限定で無料の舞台とかもあるんですよ！わたしは、いろいろ舞台を観るために、たくさん情報を掴みにいっています（笑）」

Q3. 活動するうえで、大切にしていることは？

「指示通りに動く裏方としてではなく、舞台をともに作る存在であるという意識は大切にしていますね。

高2のときに、100分の演劇のオペレーションを初めてひとりでやったことがあって。台本を追いながらでしたが、演者の動きとずれたら台無しだ……っていう緊張感があって。でも、本番の最終日に、演者の呼吸を感じてみると、まるで自分が演技しているかのように変な力が入ることなく自然に操作できたんです。この経験を通して、照明としての意識ががらりと変わりましたね。

そのあと高3で担当した身体表現の発表の照明では、リーダーとして袖にいたスタッフに『みんなで舞台を作っている感覚をもってほしい』と口酸っぱく伝えました。最後の公演では、照明を切りかえるタイミングをメモしたノートも見ず、舞台だけを見て操作することができたんです。スタッフも口をそろえて『こういう意識の大切さを実感できたよ』と言ってくれて嬉しかったのを覚えています」

Q4. 最近、新しく始めた挑戦はありますか？

「大学生になってから照明・演出の引き出しを増やすために、クロッキー帳を持ち歩いています。

舞台を観劇する度に、気になった照明や美術、演出をメモしておくんです。『こういう風に見えた』とか『こういう意図なんじゃないか』とか推測しながら。メモを見返せば、舞台の記憶を思い出せるんです。

長く照明家として仕事をしていくためには、デザインを磨くしかないと思っていて。照明技術は誰もが頑張れば習得できますが、デザインは唯一無二ですから。

高校生のときは個人的に照明デザインの依頼をもらうこともあったので、デザインをやる機会が多かったんですが、大学に入ってからはまだあまり機会を見つけられなくて。だから、いまできるのは、デザインの依頼が来たときに自己流のものを発揮できるように準備することだと思って、いろいろ学び中です。大学4年間のうちに、自己流の照明デザインを見つけたいです」

早く自分でデザイン出来るようになりたいなーって好きなミュージカルの配信を見ながらちまちま描いてるやつ🙂‍↕️ pic.twitter.com/1c8dSJVbxM

— みる (@milltoT11) September 28, 2025

Q5. 将来の展望は？

「大学に『総合実習』という演技を学んでいる学生と作品を作り上げる授業があるのですが、その照明デザインをできるのが選考で勝った人だけで。まずは、そこで選ばれて照明デザインに携わるのが目標です。

将来は、演劇や2.5次元の舞台の照明をやりたいです。どこかの会社に所属しながら下積みをして、いつかフリーの照明家として日本全国を飛び回りたいと思っています。照明一筋で生きていくのは難しいので、以前はバイトとしてでも続けられればと思っていましたが、さっき話した高校2年生のときの経験を経て、照明で生きていく覚悟を決めました」