
世の中にあふれる情報から、10代が知っておくべき話題をお届けする「Steenz Breaking News」。今日は、アイスランドがジェンダー平等推進国となるきっかけとなる1日を追った映画『女性の休日』について、ご紹介します。
ジェンダー平等をめぐる日本や世界の現状
今回ご紹介する『女性の休日』は、アイスランドの事例をテーマにした映画ですが、まずは国内外のジェンダー平等をめぐる現状をおさらいしていきましょう。
世界経済フォーラムが毎年発表する「ジェンダーギャップ指数」とは、経済、教育、健康、政治の4分野から算出される世界の国々の男女間の格差のことで、ジェンダーの国際指標として普及しています。作品の舞台となるアイスランドは、世界初の女性大統領が生まれるなど、ジェンダー平等先進国として知られており、ジェンダーギャップ指数ランキングでは16年連続1位となっています。

© 2024 Other Noises and Krumma Films.
一方、日本は148か国118位。先進国7か国で構成されたG7の中では最下位で、特に経済、政治分野における順位が低いことが今後の課題と位置付けられています。
50年前の10月24日、アイスランドで柔らかな革命を起こした女性たちがいた
そんなアイスランドで、50年前の1975年10月24日、「女性の休日」という、女性たちの9割が仕事や家事を一斉に休むムーブメントが起こりました。
いわば「女性が団結して、あらゆる活動をストップすることで国が周らなくなることを実際に証明した」一大事件であり、本作はその記録を後世に伝えるものです。
大勢の女性が詰めかけた当時のストライキの映像や、運動に関わった人々へのインタビューから歴史的な1日を振り返ります。

© 2024 Other Noises and Krumma Films.
その中で、なぜ女性は賃金が安いの?なぜ農場主になれないの?など女性たちが抱えるモヤモヤをアニメーションも交えながらひも解いていきます。
「女性の休日」は革命的な1日とも呼ばれることから、女性と男性が分断する懸念を抱く人もいるかも知れません。ですが、「柔らかな革命」とも呼ばれ、当時のアイスランドの女性たちは男性たちに「わたしたちがいないと、社会はどうなるのか」をただ知ってもらいたいと言う一心で、憎しみの気持ちはなかったと回想しているのです。
作品を観てどう思った?
10月29日、銀座のスナックで定期開催されているイベント「じぇんだーりぶ」の特別編として、『女性の休日』を観た人を対象とした感想シェア会が開催されました。
知人に勧められて作品を観た男性は、「女性に人気の作品と予想したため、不安を感じながら劇場へ足を運びました。実際は男性の来場者も多く、ストーリーも女性と男性が対立する構図ではなく、皆で手を取り合う明るいストーリーであったため楽しく鑑賞できました」と語っていました。

また、50年前の出来事をこのタイミングで振り返る意義や、毎年3月20日の国際女性デーに合わせて日本版「女性の休日」を実施する計画がSNS上で見られることなども話題にのぼりました。
「日本はまだまだジェンダー推進が必要ですが、もし50年前であれば作品自体日本国内では上映されることがなかったのではないかと思います。次の50年を待たず20年や30年で流れは加速すると、ポジティブに受け止めました」と感想を話す人も。

約2時間にわたったイベントは、女性、男性だけではなくLGBTや外国人など、さまざまな人の権利向上や社会参加も同時に推進されていく社会が理想的だと言う結論で締めくくられました。
しなやかで、パワフルな女性たちから勇気をもらえる1本
映画『女性の休日』は「ひとりの一歩は、集まれば大きな一歩となるのだ」とジェンダーに関わる事柄に限らず、社会をより良くするすべての人々をエンパワーメントさせる作品です。また、本作には主人公がおらず、「女性たち」を映した作品であることもポイントです。ぜひ自身も登場人物になった気持ちで作品を楽しんでみてはいかがでしょうか。
『女性の休日』概要
10月25日(土)より、シアター・イメージフォーラム他全国順次ロードショー
監督:パメラ・ホーガン
出演:ヴィグディス・フィンボガドッティル、グズルン・エルレンズドッティル、アウグスタ・ソルケルスドッティル 他
エンドクレジットソング:ビョーク
2024年/アイスランド・アメリカ/アイスランド語・英語/71分/原題:The Day Iceland Stood Still
後援:アイスランド大使館
提供・配給:kinologue
公式サイト:kinologue.com/wdayoff
Text:kagari






