
2025年8月からアメリカに留学しているAiです。今回は、前回に引き続き、大学初日から新学期開始についてのドタバタ劇をお話します。
トラブル続きの到着と、まさかの野宿危機!
フライトキャンセルやロストバゲージなどトラブルが相次ぎ、大学に着いたのはなんと朝4時。まず驚いたのは目の前を鹿が歩いてたることでした。街灯が少なく暗闇の中、ひとつの電灯に照らされる鹿の姿に思わず叫びそうになりました(笑)。留学先には道中のトラブルで到着が遅れることを事前に伝えていたため、寮の部屋のドアは開けておいてもらえることになっていました。
いよいよ寮に到着! ワクワクドキドキいっぱいでドアをあけると「……ん?閉まってる?」夏とはいえ、早朝は寒いニュージャージー州。野宿だけはごめんだと思い、パブリックセイフティの警備員さんが巡回している車を探すため、走り回りましたが、見つけることは出来ません。
諦めかけたその時、たまたま目の前に寮の警備員さんの電話が書いてあるポスターを見つけ、すぐに電話をかけました。やっと寮の鍵を開けてもらい、大学から支給される布団セット(枕や毛布など)を受け取ることができました。安心したのもつかの間、なんと3階まで重い荷物を自力で持ち上げる過酷な試練が待ち受けていたのです。アメリカに持ち込みが許可が降りているのは、23kgのスーツケース2つと機内持ち込みを含めた手荷物2つ。合計約60kgを超える荷物は想像より重く、エレベーターがない建物には笑うしかありません。
朝5時30分、やっと(!!)荷物を運び終わり部屋に入れましたが、収納にも想像以上に時間がかかり、気づけば朝7時。結局、一睡もせずに留学生向けの初日オリエンテーションを迎えました。時差ボケに徹夜が重なり、その日眠くて仕方がありませんでした。誰に話しかけようか戸惑いながら挨拶と途切れ途切れの会話ばかり。友達ができるのか、うまくやっていけるのか、不安でいっぱいでした。近隣の国同士やスポーツ入学の生徒たちが共通の話題で盛り上がる中、わたしは輪に入れず、約30人という少ない留学生の中で孤独を感じながら就寝しました。
2日目以降は大学スタッフが引率し、留学生と共にショッピングセンターに行く予定でした。しかし、わたしは時差ボケによる体調不良にて断念(泣)。次の日のニューヨーク旅行に備えて体力を温存しようと、とにかくたくさん寝ました。午後に目が覚めてからは、現地での銀行口座を開設したり、キャンパスをお散歩したりしてゆっくりと過ごしました。お腹が空いて立ち寄った食堂では、日替わりのビュッフェ、想像以上に美味しいご飯、アイスクリームの食べ放題、キッチンスペース、スムージーマシーンに感動しました。
不安と孤独のスタート、それでも少しずつ前へ
そうして迎えた3日目、いよいよニューヨーク観光です!観光といいつつも昨日に引き続き大学スタッフの引率なので、分刻みの修学旅行の気分でした(笑)。
朝9時20分、集合場所のバス停まで向かいました。朝寝ぼけて真っ白の服にココアをすべてこぼしてしまうハプニングもあり、全力で走ったものの、到着したのは集合時間から20分遅れた9時20分。それなのに、バスの時間に間に合ってしまい、時間に対する価値観が日本と違うことを実感しました。
わたしの学校から寮があるニューヨークまではバスで約50分なのですが、シャイになっていた初日、時差ボケで体調を崩した2日目を取り戻すため、全力で友達作りに専念しました。
バスの中で仲良くなった友人たちとニューヨークの歴史を知り景色を一望できるOne World Observatoryという展望台に行ってきました。大好きなブロードウェイの本場、タイムズスクエアに到着した頃には、なぜか7人のインド人コミュニティーにひとり日本人。日本にいるときもインド人からなぜだか好かれやすいわたし。インド人とバイブスが合うのでしょうか。
9月からは現地の新入生たちの寮入りや、歓迎会で毎日が賑わっていました。元々イベントが多い学校だとは知っていましたが、驚いたのは無料のご飯やTシャツの配布、お祭り、カラオケ大会、交流会などが約2週間も続いたこと。在学生によると、 高い学費やOB / OGの寄付金からすべて賄われているそう。それにしても凄いな……と日本との違いを再認識しました。
ファーストウィークがすぎると気がつけば 、身の回りもすべて留学先の大学色に染まっていました。初日からもらった4枚のTシャツ、イベントで絵を描いた帽子、オリジナルトートバックなど、あっという間に部屋が賑やかなになりました(笑)。
Hi-Hi作戦から始まった友情
とにかく色んな人に 「ハーイ!」と声を掛ける「Hi-Hi作戦」が功を奏し、2週間経ったころには、友だちがたくさんできました。最初は、「留学生だから普段から遊びにいけるような深い友人関係までは難しいのかも……」と勝手にしょんぼりとしていたわたしでしたが、3週間目には「仲良し」と公言できるお友達が出来て嬉しかったです。
人生初のメキシコ料理に挑戦したこと、ロックフェスに行ったこと、真夜中にスモアを食べたこと、キャンドルを置いて恋バナをしたことのすべてが大切な思い出です。もうずっとここにいたい……日本に帰りたくない……。幸せだけどちょっぴり寂しい。そんな9月でした。
Ai(渡邉亜衣)のプロフィール
北極に魅せられた国際活動家であり、音楽を軸に生きる表現者。17歳で訪れたグリーンランド最北のカナック村での経験をきっかけに、気候変動や地域社会への関心を深め、2023年にはドバイで開催された「COP28」に登壇し、現地の声を国際社会に届けた。音楽の分野では、国内外でライブを企画・出演しながら、社会との接点を模索。現在は国際バカロレアの知見を活かし塾講師として働く一方、大学で自らの活動をさらに深めている。