
「気になる10代名鑑」の1115人目は、古見成生さん(19)。舞台芸術のチームを立ち上げ、マネジメントからアーティストとしての表現まで、さまざまな芸術活動に携わっています。その傍ら、政治について話すコミュニティも運営する古見さんに、芸術と政治の2つの活動で大切にしていることやこれからのヴィジョンについて聞いてみました。
古見成生を知る5つの質問

Q1.いま、力を入れていることは?
「舞台・映像などの芸術活動のチームマネジメントや地域イベントの企画・運営に取り組んでいます。
表現芸術や映像制作をおこなうチーム『心迫音(しんぱくおん)』を仲間とともに立ち上げて。表現したいけど一歩踏み出せないという人たちが、自由に挑戦できる空気感をつくることを目指しています。
他にもさまざまな創作チームに所属していて。かつては表現する側に力を入れていたのですが、東京のコミュニティ創造団体『ReZIBUN』でオンラインギャラリーやマルシェを運営するなど、いまはマネジメントや裏方の仕事を担うようになっています。
また、政治や社会についても関心があって。政治や社会について気軽に語れる場『ゆるふわ社会とーく』の主宰もしています。
アーティストの枠にとらわれず、社会と人をつなぐ存在であれたら嬉しいです」
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Q2.活動を始めたきっかけは?
「小さい頃から演劇をしていて、よく褒めてもらえたことがきっかけになっていると思います。
幼少期からシュタイナー教育の学校に通っていたのですが、演劇・舞台・ダンス・歌・映画制作といった芸術活動を続けてきて。学年にかかわらず、自分のやりたいことを追求することができる環境だったので、台詞覚えが得意だったぼくは、1年生のときに4年生の劇に出させてもらったこともありました。
演劇では、自分じゃない誰かのことを演じることで、はじめて自分を客観視することができることがすごく新鮮で。自己表現することにどんどんのめり込んでいきましたね」

Q3.活動で大切にしていることは?
「誰かの正直な気持ちを、丁寧に引き出すことを大切にしています。仲間を集める時には、どれだけ力量を持っているかよりも『気持ちが強いかどうか』をみるようにしていて。
人によって表現したいものや持っている世界観も違いますが、一方で、表現が伝わらないもどかしさを恐れて、自分の『やってみたい!』という素直な気持ちを打ち明けることができない人も多くなってきていると思うんです。
だからこそ、かつて前線で表現してきた人間として、誰かの『やってみたい』をいっしょに考え、裏方として支えたいと思っていて。会議やイベントの際にも、積極的に相手の声を引き出すように発言したり、自由に意見を言える全体の空気感をつくったりすることを意識しています」

Q4.活動を通して、実現したいビジョンは?
「『わからない』をそのまま受け入れられる社会をつくりたいです。
政治や社会のことって、関心がない人ほど自分から距離を置きがちだと思っていて。でも、興味がなくても影響は受けていて、だからこそ、誰でも匿名で話せて、意見を交わせる場所を増やす必要があると思うんです。
完璧な答えじゃなくても、わからなくても、『とりあえず話してみよう』の一歩を踏み出してもらえるようにしたい。
ぼくがやっている芸術と政治も、一見関係はなさそうにみえるけれど、一貫して、誰かの素直な気持ちを引き出して、それで社会が少し豊かになればいいなと思っています。
そのために、『空気感の共有ができるメディア』をかたちにしてみたくて。映画やSNS、ワークショップなど、媒体はどうなるか分からないですが、人と人とがジョークを言い合えるような空間になったらいいですよね」
Q5.将来の展望は?
「表現の世界に、表現する側とマネジメント側として関わり続けていたいです。
ぼくにとって創作は、自分が存在している理由を確かめるための行為でもあって。社会のどこに自分が立っているのか、対話をしてみるようなイメージです。
社会的な死って、生物的な死に逆転することもあると思っていて。社会との距離が空いて、みんなに忘れられてしまったら、生きている感覚が持てなくなってしまうなって。悲観しているわけではなくて、冷静的にそう感じてた時期があったんです。
だから、表現する存在以外にも、社会との接点を提供する存在として居続けられたらと思います」

古見成生のプロフィール
年齢:19歳
出身地:神奈川県横浜市青葉区
所属:ReZIBUN、心迫音
趣味:考えること、蕎麦を食べること、映画を見ること、音楽を奏でる・聴くこと、
特技:色んなことに興味を持つこと
大切にしている言葉:疑問を持って、何故を考えろ
古見成生のSNS
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Photo:Nanako Araie
Text:Taishi Murakami






