Teen's Snapshots

「自分たちは社会を変えられる」校則問題を足掛かりに人権問題にも行動を起こす【安達晴野・18歳】

「自分たちは社会を変えられる」校則問題を足掛かりに人権問題にも行動を起こす【安達晴野・18歳】

「気になる10代名鑑」82人目は、安達晴野せいやさん(18)。自由な校風が魅力の高校で、校則にない頭髪指導が行われていたことがきっかけで、校則問題は人権問題であると声をあげました。その声は学校にとどまらず、日本中に広がり、多くの人たちの中で、校則に対して疑問を抱くきっかけに。そんな安達さんが今、何を思うのか。そこに迫りました。

■安達晴野を知る10の質問

Q1. プロフィールを教えてください。

「東京都出身の18歳です。『自由の北園』と呼ばれている校則のない都立北園高校に通っていて、2年生から3年生にかけて生徒会長をしていました。管理教育が強まってきたことに危機感を感じ、校則と生活指導の問題に取り組んでいます。先日、高校を卒業し、4月から早稲田大学の政治経済学部に進みます!」

Q2. 活動のきっかけは?

「出身中学校がとても校則に厳しくて、高校は自由なところがいいと思い『自由の北園』と呼ばれている、都立北園高校に入学したんです。高校に入るまで校則は『ないと学校が荒れる』とか『よくわからないけど必要なもの』だと思っていました。

でも、そんな自由の土壌のある北園高校でもその前提が崩れてきていて、もっと髪色や髪型が自由でもいいんじゃないかなって思ったのが、活動のきっかけです。

そこで、北園高校の現状に問題提起するドキュメンタリー作品『北園現代史』の製作に携わったのですが、YouTubeの限定公開のみで1.8万回再生されるほど、学生から学校外の有識者まで、多くの人から大きな反響があったんです。その後、一般公開に踏み切り、再生回数は3万回を超えて、メディアからも取材されるようになりました。僕自身も校則問題だけでなく政治問題について意見をメディアでお話ししています」

Q3. 何を大切に活動していますか?

「対話を大切にしています。問題を前に進めるためには、違う価値観や意見を踏まえて、本音で話さないとうまくいかない。校則問題を先生方と話し合うときも、上辺だけの回答をもらって、うまく議論が深まらなかったんです。

だから、自分の本音をしっかり伝えたうえで、相手の本音をしっかりと受け止めることが、すごく大事だと思います」

Q4. 活動を続けるモチベーションは?

まわりに一緒に頑張ってくれる人がいること。それで『僕も負けないぞ!』って気持ちになれます。あと、楽天家でメンタルが強いほうなので、うまくいかなくても病まないんです(笑)。『なんとかなるでしょ!』っていう、持ち前のポジティブさを常に発揮してます」

Q5. 趣味はありますか?

観劇です! 仲のいい友達に布教されて、ハマっちゃいました(笑)。華やかで楽しいんですよ。日比谷にある帝国劇場や日生劇場、東京宝塚劇場によく足を運びます。観ている時間は、何よりも幸せを感じます!」

 

Q6.生きるうえでのポリシーがあれば教えてください。

自分にも他人にも誤魔化さないことと、おかしいと思ったことにきちんと声をあげることです。これは、自分がよく生きるためにも社会を良くするためにも大切だと思います」

Q7. 社会が「こう変わればいい」と思うことは?

人権と民主主義が尊重される世の中になってほしいです。議論を放棄したり、民主主義的な手続きを軽視していたりする今の政治をみていると、民主主義から離れているなって感じます。そして、社会で人権が軽視されているから、学校でも人権が軽視されている現状があると思います」

Q8. 最近、新しく始めた挑戦はある?

「女性に敬意を払い、きちんとエスコートできるよう意識しはじめました!でもどうすればいいのか、右も左も分からず停滞しているので、まだまだこれからだなっていうところです(笑)」

Q9. 今後の展望を教えてください。

「3年間活動して、校則問題って社会全体が抱えている人権や民主主義の問題につながっていることがわかりました。だからこれからは校則問題に限定せず、まだ知らない社会問題をみて、自分が何をしたいのか、何をするべきかを見つけていきたいです!

そしていつか、弱い立場の人の拡声器となるジャーナリストや、社会を変える政治にコミットできたらいいなって思います」

Q10. 同じ時代を生きる10代にメッセージをお願いします。

社会変革は実現しうるということ、そして自分たちの手で実現できるということを知ってほしいです! 僕もこれから大学に入って、たくさん学びながら活動していきます。一緒に頑張りましょう!」

■安達晴野の今日のファッション

シャツ/大叔母さんのおさがり デニム/HAPPY UNION スニーカー/New Balance バッグ/G.NINE

「大叔母さんがバブル時代に着ていた花柄のシャツを譲り受けて着ています。花は性暴力への抗議と被害者への寄り添いの象徴なので、フラワーデモに参加するときは、よくこの服を着ます!」

■安達晴野のSNS

★Twitter

 

★安達晴野さんが出演するドキュメンタリー作品『北園現代史』

 

 

Photo:Eri Miura
Text:Tomoka Uendo
Edit:Takeshi Koh

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Ayuka Moriya

エディター

1999年生まれ、秋田県出身。東京外国語大学 国際社会学部在学時よりライター・エディターとして主にインタビュー記事の執筆、ディレクションに携わる。Steenzでは、2021年ローンチ当初より「気になる10代名鑑」のコンテンツ制作を担当。

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