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なぜカンボジアに日本のダンススクールが進出したのか?貧困家庭出身の若者を育成する理由【Steenz Breaking News】

なぜカンボジアに日本のダンススクールが進出したのか?貧困家庭出身の若者を育成する理由【Steenz Breaking News】

世の中にあふれる情報から、10代が知っておくべき話題をお届けする、「Steenz Breaking News」。今日は、カンボジアでブレイクダンサーの育成を支援する日本のダンススクールの取り組みについてご紹介します。

競技大会でメダル獲得目指す

東南アジアのインドシナ半島の中央に位置するカンボジアで、日本のダンススクールがダンサーの育成を支援する取り組みが始まっています。来年5月に開催予定の東南アジア競技大会(SEA Games)で、ブレイクダンス部門で育成選手のメダル獲得を目指す計画です。

なぜ日本のダンススクールが、カンボジアの選手を育成することになったのでしょうか。

貧困家庭でも大成功できるのがダンス

カンボジアでの選手育成に乗り出したのは、日本国内で50以上のダンススクールを運営するD.O.D株式会社(兵庫県伊丹市)。代表取締役を務める岩花いわはなげんさんによると、10年前にカンボジアで小学校を建設したことで国内の人脈が広がり、カンボジアのオリンピック委員会の代表者と意見交換をしたことがきっかけとなりました。

育成する選手は、貧困家庭で育った10~20代の若者が中心です。岩花さんは、「ダンスというのは、道具などを購入する必要がないので、貧しい環境で育った選手でも、大成功を収められる可能性がある」といいます。

D.O.Dは、ブレイクダンスの競技レベル向上に向けた覚書をカンボジアのダンススポーツ協会と締結しており、カンボジアに日本人コーチを送り、選手選考からトレーニングまでを一貫しておこないます。

10月12~13日には、首都プノンペンで、「SEA Games2023」の代表選手を選ぶ公開オーディションが開催されました。さらにオーディションを重ねて年内に4人の代表を選抜し、来年には日本で3か月間の集中トレーニングを実施する予定。最終的に男女1名ずつ、計2名の代表選手が決定される見通しです。

TikTok普及でダンス人気に

カンボジアに限らず、東南アジアの国々では、動画共有アプリTikTokの普及に伴い、若者のダンスへの関心が高まっています。広い世代でスマートフォンが普及していることもあり、幼い子どもから学生を中心に、多くの若者がTikTokでダンス動画を共有しています。

カンボジア日本人会の小市琢磨会長は、「特に知育の観点から、富裕層が子供をダンススクールに通わせるケースが増えており、プノンペンではダンススクールの開設が増えている」と話します。

さらに東南アジアでは、経済成長に伴って中間所得層が増えており、今後もダンスのような習いごとの需要が拡大していくとみられています。

D.O.Dは将来的に、カンボジアに日本と同様のダンススクールを開設し、ダンサーの育成環境の整備を支援していく予定です。また、カンボジアに限らず、他の国々への展開を進めていく計画もあるそう。

絵本ダンスプログラムを各国で展開も

そして、D.O.Dがもうひとつ手がけているのが、絵本とダンスを組み合わせた、独自の絵本ダンスプログラム。これまでカンボジア、タイ、ベトナムの幼稚園や保育園など、10か所でワークショップを実施しました。このプログラムは、絵本の読み聞かせをするほか、そのストーリーにあった音楽の振付けをレクチャーする取り組みです。

D.O.Dはオンラインでのダンスレッスンを通じ、ZOOMなどを用いて、世界各国のダンスを披露し合う取り組みも計画しているそう。ダンスを通じて、世界各国で交流の輪が広がっていきそうです。

Image:D.O.D株式会社
Text:Risako Hata

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Risako Hata

ライター

タイ在住のジャーナリスト。共同通信系メディアにて5年のタイ駐在を経て独立。現在は、アジアの経済や人道問題、SDGsに関連する記事を執筆。

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