
「気になる10代名鑑」1326人目は、本瀬湧麻さん(19)。フリースタイルスクーターの日本代表でありながら、フィジーの若者にスクーター文化を広める活動をしています。高校3年間フィジーに留学した経験が人生観を変えたと話す本瀬さんに、当時のエピソードや将来の展望について詳しく聞きました。
本瀬湧麻を知る5つの質問

Q1.プロフィールを教えてください。
「フリースタイルスクーターの日本代表として活動しながら、『選択肢の貧困』を解消するための取り組みをしています。
『Fiji Skate Project』の代表として、2028年をめどにフィジー初のアーバンスポーツの練習場をつくることを目標にしています。今年の3月には、スクーターを現地の文化として根付かせるために、フィジーの学校にスクーターを11台寄贈して、2週間現地で先生として授業をしました。
また、現在はその経験をもとに『NEXT SPARK』という組織を立ち上げ、国内外を問わず、若者へ新しい選択肢との出会いを届ける活動を進めています。寄贈をしたときに、スクーターだけじゃなくてもいいかもしれないと思ったんです。幅広い選択肢を子どもたちに考えてもらうためには、自分のような『好き』によって人生を変えられた人たちを集めてアベンジャーズのような組織を作って、発展途上国以外でも新たな体験の機会を増やせるような活動をしていこうと考えています」
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Q2.活動をはじめたきっかけは?
「高校3年間のフィジーへの留学経験です。もともと海外に興味があって、最初はアメリカやカナダに行こうとしてたんです。でも、日本とは環境が真逆の発展途上国に行くことによって、語学留学だけでは得られないような価値観や経験を積むことができるんじゃないかと思ったんです。
現地でもスクーターの練習をしようと思っていたんですけど、フィジーには整備された練習環境が無くて。でも、日本にいるライバルたちがどんどんレベルアップしていくのを見て、自分にできることをしなきゃと思ったんです。最初の2ヶ月間、街のど真ん中でスクーターに乗り回して技を練習しまくりました。はじめは白い目で見られていたけれど、3週間くらい経つと、今日も頑張ってるねと拍手してもらえるようになって。だんだん子どもたちが寄ってきて、スクーターを教えてよと言われ、2か月後には10名ほどのコミュニティが生まれました。
練習しているなかで、ひとりの少年がぼくにかけてくれた言葉が忘れられません。『スクーターに出会ったことで、毎日に目的ができた』と言ってくれたんです。このときに、好きなことって人の人生を変えられるのかもしれないと思うのと同時に、発展途上国には経済的な不安定さだけでなく、子どもの遊びの貧困もあるんだと気づきました。それを何とか変えたいと思ったのが、活動の原点です」

Q3.活動にあたってのファーストアクションは?
「まず、練習施設をつくるには、それを実現できるだけの影響力が必要だと考えました。まずは自分の言葉に説得力を持たせるために、スクーターの日本代表になろうと思って。高校を卒業したあとに代表になり、国内の大会で表彰台に立ったり、いろいろなメディアに取り上げられてもらえるようになってから、活動のためのクラウドファンディングをはじめました。でも、なかなかうまくいかなくて。そんなとき、とあるプレゼン大会に挑戦して、優勝して100万円をゲットしました。
賞金を元手にスクーター、ヘルメット、プロテクターを寄贈したのですが、輸送費や同行してくれたスタッフの人件費を含むと、40万円ほどオーバーしてしまったんです。その分は、自己資金から出しました(笑)。必要経費でしたし、いつか還ってくるものだと思うので後悔はありません」

Q4.活動をする中で辛かったことは?
「日本代表になる前、全日本大会に出場する直前に、自分を見失った時期がありました。友だちからの誘いも断り続けて、目標を叶えるためにひたすら練習していたのに、何をやってるんだろうってなる瞬間があって。ほかの競技でも言えると思うのですが、成果を出すのにはすごく時間がかかるし、めちゃくちゃ地道なんです。途方に暮れた自分を救ってくれたのは、中学生のとき、憧れのプロに会って、直接技を見せてもらったときの感覚でした。あの技をどうしてもやりたい、あの技ができたらかっこいいだろうなっていう気持ちですね。そこでもう一度立ち直り、日本代表になることができました。
フィジーでは、何度も衝撃的な経験をしましたね。毎日家にゴキブリやネズミが出るし、通学路で強盗に遭って刃渡り40センチのなたを首にそえられたときは、ここで死ぬんじゃないかと思いました。でも、そのおかげで日本では得られないような危機管理能力が身についたんです。人っていつ死ぬかわからないなっていう感覚が、思い立ったらすぐ行動するという瞬発力につながっていますね」
Q5.将来の展望は?
「『Fiji Skate Project』のゴールは、先ほど話したように練習場になるスケートパークをつくることなんですけれど、計画の中間にあるのが、選択肢を提示するというモデルを他の発展途上国の学校に届けることです。それを現実にするために、今後もプレゼンコンテストなどに積極的に参加していくつもりです。施設を設置して終わるのではなく、現地に生まれたスケートコミュニティが、文化として自走していってほしいと思います。
好きなことに出会えないまま大人になってしまう若者たちがたくさんいる世界を変えるのが、ぼくの野望であり目標であって。子どもたちが好きなことに出会えるきっかけを作って熱中を生み出すことによって、そこから次世代につなげてくれる人が現れると思うんです。
あと、20代のうちに、本を書きたいです。いずれではなく、ぼくのリアルタイムの視点を同世代だけでなく上の世代の人にも伝えたい。いろんな手段で、より多くの人に、好きなことで人生って変えられるというメッセージを伝えていきたいですね」

本瀬湧麻のプロフィール
年齢:19歳
出身地:千葉県浦安市
所属:Fiji Skate Project 代表、NEXT SPARK founder&CEO、WORLD SKATE JAPAN 日本代表
趣味:一人旅、Vlog制作
特技:スクーター
大切にしている言葉:好きなことで人の人生は変えられる
本瀬湧麻のSNS
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Photo:Nanako Araie
Text:Yuzuki Nishikawa






