
「気になる10代名鑑」の1330人目は、理仁さん(16)。学生団体とスタートアップの両輪で、自分で考える力を育むための仕組みをつくっています。自作のAIアプリは、あえて答えを教えない設計にしているという理仁さんに、活動をはじめたきっかけや、これからのAI時代のヴィジョンについて聞いてみました。
理仁を知る5つの質問

Q1.いま、力を入れていることは?
「人が変わるきっかけをつくるために、学生団体とスタートアップを設立し、活動しています。
2026年4月に立ち上げたばかりの学生団体NOVELINKでは、若者同士の偶然の出会いから、価値観をぶつけ合う場をつくりだすことを目指していて。6月にはボードゲームをしながら学生同士で夢を宣言しあい、フィードバックを受け取りあえる初の交流イベントも開催しました。
もうひとつが、『Licht AI & アイジャーナル』というスタートアップです。ここでは、対面の場づくりに加えて、人との出会いによって生まれた変化を一過性で終わらせないために、自分と向き合い思考を深めるためのAIおよびジャーナルアプリの開発にも取り組んでいます。
一般的なAIは答えを教えてくれますが、ぼくたちのAIはあえて答えを提示しないようにプログラムされているのが特徴です。たとえば『国内進学と海外進学で迷っています』と相談すると、『どちらがいいと思う?』ではなく、『何が引っかかっているの?』『その判断基準はどこから来たの?』と問い返します。自分で考え、自分の価値観を言葉にするためのAIなんです。さらにジャーナルアプリでも、思考の変化や学びを蓄積して、自分の判断軸を育てることができるんです。
AIが人間の思考を簡単に置き換えてしまう時代だからこそ、ぼくは逆に、人間が考え続けるためのAIをつくりたいんです」
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Q2.活動を始めたきっかけは?
「幼いころから、ぼくは人と関わることが好きでした。アメリカンフットボールの仲間やコーチをはじめ、起業家の人たち、課外活動で出会った主体的に挑戦する学生たちなど、本当にたくさんの人と出会い、それらの出会いがぼくの価値観や行動を大きく変えてくれたことがきっかけになっていると思います。
とりわけ、いまやっているNOVELINKとスタートアップの立ち上げで出会った同世代の仲間との出会いは大きくて。ひとりでは構想で終わっていたアイデアが、仲間と出会ったことで実際のプロダクトとして具現化できたんです。
一方で、SNSなどで人とつながることは簡単になったものの、対面だからこその化学反応は少なくなって、挑戦や行動が起こしにくくなっている気がしていて。情報や選択肢が増えたからこそ、自分で考えて決めることもSNSや周囲の情報に委ねてしまう『判断の外注化』現象が起きているようで、危機感を抱いています。
だからこそ、人との出会いを意図的につくる場としてNOVELINKを立ち上げました。そして、その出会いを実際の行動につなげるためAIプロダクトの開発にも取り組み始めたんです」

Q3. 活動で大切にしていることは?
「自分の意思を言葉にして伝えることです。
人は『こうなりたい』『こんなことをやってみたい』という思いを言葉にし、それを誰かに認識してもらうことで、行動を変えられると思っていて。ぼくもできるだけ周りに言葉にして伝えるようにしているんです。実際にそうやって発信し続けたからこそ、共感してくれる仲間と出会い、活動も少しずつかたちになってきました。
この考え方は、NOVELINKの活動にも通底していて。ただ交流するだけではなく、自分の夢や理想を言葉にして誰かに伝える時間を大切にしています。『こういうことをやりたい人だ』と周りに認識されることで、自分自身もやりたいことに責任を持つようになりますし、新しいつながりや挑戦も生まれやすくなると思うんです」
Q4.活動を通して、実現したいビジョンは?
「AIと人間が互いの役割を理解し、適切なラインを引きながら共存できる社会をつくりたいです。
これからAIは、情報処理や分析、効率化といった数値化できる領域では、人間を大きく上回っていくと思っています。ぼくは、AIにできることはAIに任せればいいと割り切っていて。一方で、自分に対する問いは、人間にしか向き合えない領域です。人間がAIのようになるのではなく、AIを使うことで、人間がより人間らしいことに時間を使えるようになるのが理想ですね。
いまやっているふたつの活動は全て、そんなこれからの時代を生きる人たちの支えになればと願っていて。NOVELINKでは、人との出会いをうみ挑戦のきっかけをつくって、Lichtでは、AIやアイジャーナルを通して自分自身との対話をより深めていく。このふたつの仕組みによって、外側からの刺激と内側での思考の両方を支えていきたいと考えています」

Q5.将来の展望は?
「まずは、今年中に現在開発中のLicht AIとアイジャーナルをリリースし、一人ひとりが自分自身と向き合い、自分の意思で選択できる人を増やしていきたいです。
その先は、海外大学でアントレプレナーシップや組織論を学び、世界中のスタートアップや研究者と議論しながら、『人が変わる仕組み』をさらに磨いていきたいと思っていて。
ぼくの最終的な目標は、日本をもう一度、世界に誇れる国にすることです。『日本はもう終わっている』という言葉を耳にするたびに、とても悔しく感じます。でもぼくは、日本には物事の裏側まで丁寧に考え抜く文化や、ひとつのことに時間をかけて磨き上げる文化が残っていると思っています。そうした日本らしい価値は、これからのAI時代だからこそより重要になっていくと思います。
世界の最前線で学んで、日本だからこその価値や人との出会いの価値を、社会の中で輝かせていきます」

理仁のプロフィール
年齢:16歳
出身地:静岡県沼津市
所属:聖学院高校Global innovation class、宗教文化ゼミ、学生団体NOVELINK代表、Licht AI & アイジャーナルFounder、Beyond 2020 next projectメンバー、kingfishers american football club、AMATERASU Racing、Global Innovator Academy
趣味:ピアノ、ドラム、スポート全般
特技:おしゃべり
大切にしている言葉:ネガティブ禁止
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Photo:Nanako Araie
Text:Taishi Murakami






