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データセンターが森林整備? 日本の林業が変わり始めている【Steenz Breaking News】

データセンターが森林整備? 日本の林業が変わり始めている【Steenz Breaking News】

世の中にあふれる情報から、10代が知っておくべき話題をお届けする「Steenz Breaking News」。今日は、データセンターが行う森林整備をご紹介します。

データセンターをめぐる意外な資源問題

IT機器やオンラインサービスの裏側で欠かせない存在となっているのが、インターネット用のサーバや機器を設置するための建物、「データセンター」です。AIの急速な普及を背景に、世界各地でその建設が増えています。一見、クリーンで無機質な印象を受けるデータセンターですが、実際には膨大な電力に加え、機器の冷却のために大量の水も使われています。

世界では水に乏しい地域も多くあります。そうした地域では農業や地元住民が生活に使う水と競合するケースが起きているのだそう。一般的にDXやAIの資源問題というとレアメタルを想像させますが、水についても問題となっているのです。

日本は水資源に恵まれた国だと考えられてきました。日本の国土の約7割が森林であり、さらに、森林は雨水を蓄えゆっくりと放出する機能があることから、深刻な水不足がまれだったのです。そのため、DXやAIをめぐる話題の中で、水の利用を巡る問題が深刻に語られることは多くありませんでした。

しかし、近年、状況が変わりつつあります。気候変動による雨の降り方の変化を実感する人が多いでしょう。重ねて、従来から森林を管理する林業界では、高齢化や担い手不足が叫ばれています。管理が行き届かない状況では、機能が適切に発揮されにくくなり、水資源への影響は避けられません。

そこで、大きなデータセンターを抱える大企業が、森林管理に乗り出す流れが生まれています。

LINEヤフー:福島や福岡で水源を支える森林整備

LINEやYahoo!を運営するLINEヤフー株式会社は、福島県の白河と福岡県の北九州にデータセンターを持ち、事業活動で多くの水を利用しています。同社では、外気を活用した空調システムなど、水使用量の抑制や効率化にも取り組んでいます。その上で、それぞれのデータセンターの水源である福島県の阿武隈川水系、福岡県の遠賀川水系において森林整備を行っている森林組合と協定を締結しました。

福島県では、阿武隈川上流域の森林で、西白河地方森林組合によって、間伐を中心とした整備が進められる予定です。間伐がおこなわれることで森林の密度が適切となり、水源涵養機能の維持・向上が見込まれます。さらに、間伐された木材は、木材チップとしてバイオマス発電に活用される予定です。

一方、福岡県では、遠賀川上流域の森林で、福岡県広域森林組合により再造林を中心とした森林整備がおこなわれます。再造林とは、伐採後の森林に再び木を植え直すこと。コストがかかることから、放置されるケースも少なくありません。また近年、鹿による植林後の若木への食害も深刻化しています。こうした課題に対応し、水資源を持続的に利用できる環境づくりが進められる予定です。

これらの取り組みによって、10年後には年間2億リットルの水資源が涵養されると見込まれています。

Amazon:水源地・山梨県で森林整備プロジェクト

Amazonの関連会社であるアマゾン ウェブ サービス(以下、AWS)は、AWSアジアパシフィック(東京)リージョンのデータセンターを運営しています。ここでも、データセンターの冷却に水資源が使われていることから、水源地のひとつである山梨県丹波山村(以下、丹波山村)と共同で水源涵養プロジェクトをおこなうことを発表しています。

丹波山村は山梨県に位置しながら、多摩川の水源地として、多くの森林が東京都の水源林に指定されている地域です。そうした森林で、より水源涵養機能が発揮されるように、間伐や剪定などおこなっていく予定です。

事業で使用する量以上の、年間1億3,000万リットル以上の水が涵養される見込みです。水資源の確保に加え、地域社会への貢献も意識した取り組みだと言えるでしょう。

使う人が関わる仕組みを作る

わたしたちの生活や社会に欠かせないインフラとなりつつある、データセンター。しかし、その運営は大量の電力を消費すると同時に、水などの自然資源の上に成り立っています。LINEヤフーやAmazonの事例は、多くの水を必要としている企業が、水源を涵養する森林整備に関わることで、事業を持続的にしようという試みです。デジタルと無縁ではいられないわたしたちも、その背景にある資源や仕組みに目を向け、どのように関わっていくかを考えていく必要がありそうです。

References:
LINEヤフー サステナビリティ
Amazon水管理プログラム Water stewardship

Text:Itsuki Tanaka

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Itsuki Tanaka

ライター

フリーランスのライター。食、農、環境領域 /博物館好き/コーヒー、アイス、チョコも好き。

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