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20人中18人の衝撃。我慢ではなく、シェアして話し合える性教育を目指してアプリ開発をする高校生【Anri・17歳】

20人中18人の衝撃。我慢ではなく、シェアして話し合える性教育を目指してアプリ開発をする高校生【Anri・17歳】

「気になる10代名鑑」の1240人目は、Anriさん(17)。中学時代の痴漢被害の経験から、性教育アプリ『SeiNavi』の開発をしています。勇気を出して自身の経験を話した際、周囲の9割も同じ経験をしているという現実に直面したことがきっかけで活動を始めたAnriさんに、大切にしていることや今後の展望をくわしく聞きました。

Anriの活動を知る5つの質問

Q1. いま、いちばん力を入れている活動は?

性教育をもっと明るく、もっと前向きに捉え直すためのアプリ『SeiNavi』を開発しています。

おもな機能のひとつに、自分自身が知識を深めるための『ForMe』というものがあって。ここでは、最新のトピック、たとえば最近トラブルが増えている “ディープフェイク・ポルノ” や “デートDV” について学べます。AIチャットで相談に乗ってくれる機能や、ニュース機能も入れています。

もうひとつは、『WithPartner』。これは知識を入れるだけじゃなくて、パートナーと価値観をシェアする機能です。アンケートに答えて、お互いの考えを共有するというものです。SNS感覚で、もっとカジュアルに『これってどう思う?』って話せるきっかけがつくれたらいいなと。資金面での壁もありますが、いまはウェブ版をブラッシュアップしているところです」

Q2. 活動を始めたきっかけはなんですか?

直接のきっかけは、中学生のときにたびたび経験した痴漢被害でした。電車の中で、怖くて助けも呼べなくて。でも、友だちに勇気を出して話してみたら、みんな『あ、わたしもされたことあるよ』って、当たり前のこととして返ってきて……。その数、20人中18人が被害の経験者で、この状況はおかしくないかって思ったんです。その後の聞き取りでは、男子も被害にあっていることがわかりました。

たとえば、強盗にあったらみんな警察に行くし、大声で助けを求められるじゃないですか。なのに、性の話に関わると、わたし自身もなかなか言い出せなかった……。この空気はなぜだろうって考えて、行きついたのが『日本の性教育の不十分さ』でした。

調べてみると、日本で性教育として用意されている義務教育の時間は、当時年間平均で3時間。満足に学べていなかったら、自分が受けている理不尽がれっきとした性被害だとも気づけません。さらに、その後どう対応すべきなのか、どうすれば性被害がなくなるかまで学べて話しあうまでが、本当の性教育だと思います。

だからこそ、当事者であるわたしたちが、もっと自分たちの生活で使えるレベルで、オープンに話せる場をつくる必要があると感じたんです」

Q3. 活動の中で、悩みがあれば教えてください。

こうした性教育活動への風当たりです。わたし自身は直接バッシングされたことはないけれど、これまで活動してきた先輩方は、大変な思いもされていて。だからこそ『本当に大丈夫?』『心配だよ』って声をかけてもらうこともあります。

でも、逆に『いま、高校生だからこそ発信しなきゃいけないんだ』っていう責任感を感じています。高校生が求めている性教育の内容って、高校生であるわたしたちがいちばんよくわかっているはず。

最近は、生徒会長という立場もフル活用しています。渋谷駅に乗り入れている電鉄会社の方と連絡を取って、被害に遭ったときの対応手順を教えてもらったり、『痴漢被害やその対応で遅刻しても、それは正当な理由として認める』という先生方のスタンスを広く伝えていこうと考えています」

Q4. 活動するうえで、大切にしていることは?

誰かといっしょに何かをつくりあげる面白さが、原点になっているかもしれません。

3歳からダンス、小学生からはミュージカルをやってきました。舞台の、脚本家の思いがあって、ダンサーが練習を積んで、照明や音響が最高のタイミングで動いて初めて表現できるプロセスが大好きで。

それに、昔からチームで動くことが好きでした。小6ではコロナで学校全体の雰囲気が暗くなっていましたが、代表委員に入って各学年への応援メッセージを集めた模造紙のさくらの木を飾ったり。中1からは有志でダンスチームを組み毎年発表しています。自分ひとりのモヤモヤだけでも動けるけど、それをみんなと共有して、『わたしも困ってる!』『じゃあこうしよう!』って加速していく瞬間が、いちばんワクワクします

Q5. 今後の展望は?

「将来は海外の大学に進学して、公共政策や教育、国際開発や心理学、神経科学を横断的に学びたいです。

今年の8月に、別の英語教育の活動でラオスを訪れたのですが、日本人が児童買春に関わっていることを現地で知って。すごくショックを受けました。

教育が届かない負のスパイラルのなかで、性被害が起こっているのだと気づけて。政策と教育の力で、搾取や暴力を減らしていく。それがいま、わたしのめざしたい道です

それから、いま、ひとりでモヤモヤを抱えている子がいるなら、まずは勇気を持って誰かにシェアしてみてほしい。わたしも最初はひとりで抱えていたけれど、友だちに話したことからすべてが始まりました。性をタブーにせず、もっと身近で、明るいものにしていけるように、これからも高校生ならではの視点で活動していきたいです!」

Anriのプロフィール

年齢:17歳
出身:東京都
所属:渋谷教育学園渋谷高等学校、Your English Classmate (YEC)、SeiNavi、東京都おもてなし親善大使、アフリカ平和再建委員会 (ARC)
趣味:ジャズダンス、エレキギター、読書、旅
特技:英会話、教えること
大切にしている言葉:Live as if you were to die tomorrow. Learn as if you were to live forever. (Mahatma Gandhi)

Photo:Nanako Araie
Text:Chihiro Bandome

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Chihiro Bandome

ライター

2003年生まれ、埼玉県出身。上智大学文学部新聞学科在学。自分の目で現場を見て、自分の言葉で人と話して、世界を知っていきたい。大学では、主にニュース記事の執筆を学んでいる。2023年より、ライターとして「気になる10代名鑑」のコンテンツ制作を担当。

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