
「書評アイドル」として執筆活動しながら、モデルなど幅広く活動している21歳のわたし、小春による書評フォトエッセイ連載企画 “Steenzブックレビュー”。
今回は、「繊細な気持ちを抱える人」におすすめの1冊『レモンケーキの独特なさびしさ』です。今回も、わたしと同じく以前10代名鑑に出演されていた写真家の村山莉里子さんに撮影をいただいて、「感情と風景が交差するところ」をコンセプトに、新しい本との出会いをみなさんに届けられたらと思います。

感じやすいことと上手く付き合うにはどうすればいいのだろう?
わたしはよく感受性が強いと言われることが多い。そのおかげで救われたこともあるけれど、困ったことの方が多かった。たとえば、人が緊張している空気をそのまま受け取ってしまい、自分まで具合が悪くなる。だから発表の場が苦手だし、いつも人の気持ちを必要以上に想像してしまって苦しくなることがある。

今回紹介する本は、「感じやすい(sensitive)とはどういうことかについてたくさん考えていた」と作者があと書きで語った作品だ。
食べたもので分かるその人の気持ち
主人公のローズは、母が作ってくれた誕生日のレモンケーキを食べて「ひと口ごとに、不在、飢え、渦、空しさ」を感じるようになった。それは、母が感じている気持ちの味だった。これをきっかけに、ローズは食べ物を食べるとその作った人の感情を感じ取ってしまうようになる。

感じやすいということと、食べて気持ちがわかるということは、どこか似ているところがあると思う。知る必要のなかった感情まで勝手流れ込んでくるからだ。ローズは、食べることで人の気持ちを必要以上に受け取り、その重さに耐えきれなくなってしまう。ご飯をあまり食べられなくなり、生活に支障が出るようになる。

わたしも感じやすい性質で困ったことが多かったので、大学生の間は「鈍感に生きるぞ!」と頑張ったこともあった。
辛くなりそうな映画や本、苦手だった人混みや集会を避けたり、「人の気持ちはその人のもので分からない、わたしが応えられることはない」って割り切るようにしたりした。でも、ふと立ち止まってみるとまるで自分がなくなっていくようで「なんか違うかも…」って思い始めた。

思えば、周りの友人からは人の気持ちを汲み取ってくれるカウンセラーみたいと褒めてもらえることもあった。感じやすいということは弱さではない。足りなくても困る。それに、人の気持ちを必要以上に推しはかるからこそ与えられる優しさがあった気がしたのだ。
繊細な気持ちで苦しまなくてもいい

この本を通して、感じやすいことは苦しいと改めて理解できたと同時に、そのありのままでいいとも思えた。
成長したローズは、自分の能力を活かして料理の道に進む。受け取った痛みと付き合っていき、その性質を長所として扱えるようになっていく。作者はあとがきで「いったい、<すぎる>と<足りない>のあいだに、どうやって線をひけるっていうの?」とエピソードを語っている。わたしもその通りだと思う。線が引けないことに苦しまなくてもいいのだ。そう思うとなんとかしなきゃと思う気持ちが楽になった。

今回紹介した本
『レモンケーキの独特なさびしさ』/エイミー・ベンダ/菅啓次郎 訳 (角川書店)







