
「気になる10代名鑑」1228人目は、尾原一華さん(19)。2027年から育成就労制度として拡張を予定している技能実習制度に疑問を感じ、日本企業と技能実習生のマッチングや帰国後のキャリア支援を可能にするプラットフォームの開発を構想中です。きっかけは日本語学校で生徒の支援に奔走する母の存在だったと語る尾原さんに、印象的な出来事や将来の展望を聞きました。
尾原一華を知る5つの質問

Q1. いま、いちばん力を入れている活動は?
「外国人労働者のキャリア支援の仕組みづくりに挑戦しています。おもに、日本国内での企業とのマッチングと技能実習生の帰国後のキャリア支援の改善を目的としています。
国内での企業マッチングとしては、技能実習生版Indeedのようなかたちで、技能実習生を雇用したい企業と働きたい労働者をつなげる役割を担うプラットフォームの開発を目指しています。
帰国後のキャリア支援として構想中なのが、個人レベルでのキャリア支援に加えて第三者視点としてAIなどのテクノロジーを導入することです。個人のスキルや経験を可視化することで、帰国後のキャリア形成につなげる仕組みができないか取り組んでいる最中です」
Q2. 活動を始めたきっかけは?
「日本語教師である母の存在です。
母は、日本語学校で日本語を教えながら、生徒たちの大学進学や進路相談などで支援をしています。でも、外国人の進学手続きの支援は制度化されておらず、一方で日本語の書類申請や情報調べの手助けなどは時間もかかるため、手の届く5人ほどしか支援できなくて。個人ではどうにも越えられない構造的問題の存在を実感しました。
高校生時代はずっと地方創生に興味があり、規格外野菜を使った料理教室や地元産農産物を使ったマルシェ出店、地域の歴史を学べるカードゲームの制作などをおこなってきました。
その経験もあいまって、少子高齢化が進む日本をより多くの外国人労働者に選んでもらうにはどうしたらよいのか考えるようになっていって。この問いが、わたしの活動の原点となりました」

Q3. 影響を受けた人物は?
「母です。
『うまくいかない状況から、いかに成果をあげるか』を常に考えている姿を尊敬していて。セカンドキャリアとして日本語教師を始めて、やりがいを感じながら取り組む姿と問題意識を持ちながら、課題解決のために悩む母の姿を目の当たりにしてきました。
そんな母の姿から、課題解決において民間が担う部分と、公的機関が担う部分を分けられるのではないかと、新しいヒントももらいましたね」
Q4. 活動をしている中で、印象的だった出来事は?
「日本のホテルのインドネシア支部に泊まったときに、日本のおもてなしをインドネシア人スタッフにも徹底しているのを見て、日本の魅力に気づきました。
日本語のはっきりとすべてを伝えない文化や見えないところでも材料などを工夫してお客さんを慮る文化、あとは整列の文化など……。海外に行ったからこそ日本のことを俯瞰して見ることができ、より日本の魅力を発信しなければと思うようになりました」
Q5. 将来の展望は?
「いまは塾業界でプラットフォームのプロトタイプをつくることを目標にしていて、来年の夏からの技能実習生向けの事業運用を目指しています。
4月からは、大学のメディア・コミュニケーション研究所で学びを深めていく予定です。発信には、『何を議論にするか』『何を切り取って見せるか』を左右する力があると思っているので、より魅力的な発信ができるように頑張ります。
将来は、東南アジアに向けて日本の魅力を発信する広報文化の外交官になりたいです。テクノロジーやコミュニケーションを活用しながら、人や地域が持つ経験や能力などを可視化することで、それぞれが新たな機会へとつながる社会を実現したいです」

尾原一華のプロフィール
年齢:19歳
出身地:静岡県藤枝市
所属:慶應義塾大学、NPO団体わおわお、TOKYOBesties、ディスカバ、Sfida
趣味:読書、料理
特技:早口言葉
大切にしている言葉:歩みを止めないかぎり、どれだけ遅く進んでもかまわない
Photo:Nanako Araie
Text:Haru Ninagawa






